『CONTENT'S FUTURE』の刊行記念トークショーが8月2日に開催されましたが、その際に参加者から寄せられた質疑応答に答え切れなかったので、トークショーでの質問に答えるネットラジオを9月1日に放送しましたが、その放送終了後にチャット (at Lingr) でさらに質疑応答が行われました(って経緯説明が長い! わかりますかね?)。
チャットでは全部で7つの質問がありましたけど、回答もチャットに書き込まれたので文字ベースで編集しやすいということもあり、またチャットのログの形で置いておいても参照性が悪いので、編集しなおして補足も入れてもらって読みやすくまとめなおして公開することにしました。
今回はそのうち最初の2問を公開します。このエントリがwmsさんのご質問で、次のエントリがねおさんのご質問です。引き続き来週にかけて1日2問くらいのペースで公開していく予定です。どうぞご利用ください。
wmsさんのご質問
Q.1 『プラットフォームの移行とDRMの寿命』について思うことをうかがいたいです。
小寺さんの回答
以前、米国でDRM議論があったときにわかったことですが、彼ら米国の権利者は「DRMはいつか破られるもの」という前提で考えています。
例えば、アメリカのホテルとかの駐車場で、入り口に「Bump(隆起、こぶ)」ってあるの、わかります?ちょっと盛り上がったところがあるんですよ。そこに黄色い線が引いてあったりして。それって何のためにあるかって言うと、スピードを出させないためにあるわけです。スピードを出して段差に乗り上げると、運転者本人に不快感がダイレクトに来るので、スピードを出さない。つまりDRMとは、このBumpのようなものだという考え方があるんですね。結局は乗り越えるんだけど、暴走しないようにしつらえてある障害物であると。
で、僕が考えるDRM の寿命って、それが必要ないような別のテクノロジーが生まれたときだと思っています。これはトークの中でも語られていた「VAIO Meida」からの連想なんですけど、例えば音楽をローカルファイルから聴かないで、どんな場所に居ても常にネットから送られてくるという状況になったらどうか、とか考えてみるわけです。そうなると、「コピー」という行為そのものが無意味になってしまう。そういうテクノロジーのパラダイムシフトが起こったらいいなと。
現実として、ケータイでも高速常時接続みたいなサービスが登場してきてますし、けっこうマジな話になる可能性はあるんじゃないかと思っています。
津田さんの回答
DRMの話で言えば、DRMが今後も有効にデジタルコンテンツの流通を担保していくために必要なのは、まさに寿命の問題と関わるんですけど、「DRMシフト」っていう考え方、技術じゃないかなと思ってます。
要するに、デジタルコンテンツというのが、それを再生する機械と必ず密接に結びついているので、永続的にそのコンテンツを楽しむことが難しいという性質を抱えているわけですよね。プラットフォームの寿命が来たらコンテンツの寿命も来てしまう。そのときにノンDRMだったら、簡単にメディアシフトできますけど、そうはできないわけですから。
ただし、DRMが必要な局面や必要なシーンというものは当然たくさん出てくるでしょうから、少なくとも音楽のように永続的に所有したい、と思えるようなコンテンツにDRMをかける場合は、コンテンツをDRMごと他者に売れるようなシステムや、DRMをシフトできるような相互互換性みたいなものを、どこかが作っていかなきゃいけないんじゃないか、ということです。実際に、Googleなんかはそういうことを考えて開発してるみたいですね。
小寺さんの補足
コンテンツの収録フォーマットが今後残っていくようならばDRMシフトが可能ですが、コーデックやプラットフォームが変わってしまうと言う場合には、これまでメディアチェンジしただけでユーザーは全部買い直しでした。これは以前から僕が提唱していた「俺たちはいったいいくつのパックマンを買ったんだ問題」に繋がるところでしょう。ですから消費者側としては、コンテンは権利を買うものだというスタイルに変化していくのが妥当だと考えています。
