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2007年9月 7日

【質疑応答】Q.1 『プラットフォームの移行とDRMの寿命』について思うことをうかがいたいです。【チャット】

『CONTENT'S FUTURE』の刊行記念トークショーが8月2日に開催されましたが、その際に参加者から寄せられた質疑応答に答え切れなかったので、トークショーでの質問に答えるネットラジオを9月1日に放送しましたが、その放送終了後にチャット (at Lingr) でさらに質疑応答が行われました(って経緯説明が長い! わかりますかね?)。

チャットでは全部で7つの質問がありましたけど、回答もチャットに書き込まれたので文字ベースで編集しやすいということもあり、またチャットのログの形で置いておいても参照性が悪いので、編集しなおして補足も入れてもらって読みやすくまとめなおして公開することにしました。

今回はそのうち最初の2問を公開します。このエントリがwmsさんのご質問で、次のエントリがねおさんのご質問です。引き続き来週にかけて1日2問くらいのペースで公開していく予定です。どうぞご利用ください。

wmsさんのご質問

Q.1 『プラットフォームの移行とDRMの寿命』について思うことをうかがいたいです。

小寺さんの回答

以前、米国でDRM議論があったときにわかったことですが、彼ら米国の権利者は「DRMはいつか破られるもの」という前提で考えています。

例えば、アメリカのホテルとかの駐車場で、入り口に「Bump(隆起、こぶ)」ってあるの、わかります?ちょっと盛り上がったところがあるんですよ。そこに黄色い線が引いてあったりして。それって何のためにあるかって言うと、スピードを出させないためにあるわけです。スピードを出して段差に乗り上げると、運転者本人に不快感がダイレクトに来るので、スピードを出さない。つまりDRMとは、このBumpのようなものだという考え方があるんですね。結局は乗り越えるんだけど、暴走しないようにしつらえてある障害物であると。

で、僕が考えるDRM の寿命って、それが必要ないような別のテクノロジーが生まれたときだと思っています。これはトークの中でも語られていた「VAIO Meida」からの連想なんですけど、例えば音楽をローカルファイルから聴かないで、どんな場所に居ても常にネットから送られてくるという状況になったらどうか、とか考えてみるわけです。そうなると、「コピー」という行為そのものが無意味になってしまう。そういうテクノロジーのパラダイムシフトが起こったらいいなと。

現実として、ケータイでも高速常時接続みたいなサービスが登場してきてますし、けっこうマジな話になる可能性はあるんじゃないかと思っています。

津田さんの回答

DRMの話で言えば、DRMが今後も有効にデジタルコンテンツの流通を担保していくために必要なのは、まさに寿命の問題と関わるんですけど、「DRMシフト」っていう考え方、技術じゃないかなと思ってます。

要するに、デジタルコンテンツというのが、それを再生する機械と必ず密接に結びついているので、永続的にそのコンテンツを楽しむことが難しいという性質を抱えているわけですよね。プラットフォームの寿命が来たらコンテンツの寿命も来てしまう。そのときにノンDRMだったら、簡単にメディアシフトできますけど、そうはできないわけですから。

ただし、DRMが必要な局面や必要なシーンというものは当然たくさん出てくるでしょうから、少なくとも音楽のように永続的に所有したい、と思えるようなコンテンツにDRMをかける場合は、コンテンツをDRMごと他者に売れるようなシステムや、DRMをシフトできるような相互互換性みたいなものを、どこかが作っていかなきゃいけないんじゃないか、ということです。実際に、Googleなんかはそういうことを考えて開発してるみたいですね。

小寺さんの補足

コンテンツの収録フォーマットが今後残っていくようならばDRMシフトが可能ですが、コーデックやプラットフォームが変わってしまうと言う場合には、これまでメディアチェンジしただけでユーザーは全部買い直しでした。これは以前から僕が提唱していた「俺たちはいったいいくつのパックマンを買ったんだ問題」に繋がるところでしょう。ですから消費者側としては、コンテンは権利を買うものだというスタイルに変化していくのが妥当だと考えています。

小寺信良:次世代DVDが起爆しない5つの理由 (3/3) - ITmedia アンカーデスク

【補償金】Q.2 補償金とDRMの究極の2者選択ですが、……【DRM】

先のエントリで説明しましたように、9月1日にチャットで開催した『CONTENT'S FUTURE』への質問大会のログを再構成して掲載するシリーズの第2弾です。ちょうど補償金とDRMというホットな話題の質問になりました。合わせてお読みください。

音楽配信メモ 「ダウンロード違法化/iPodの補償金対象化」がほぼ決定した件と、ITmediaの記事で抜粋されている発言についての補足

ねおさんのご質問

Q.2 補償金とDRMの究極の2者選択ですが、ユーザーはDRMの方を選んでしまうような気がするのですが、それがユーザーにとって望ましいことだと思いますか?

http://www.lingr.com/room/3BLW31ocNGd/archives/2007/09/02#msg-14306028

津田さんの回答

シンプルに言えば、ユーザーにとっては望ましいことではないと思います。

ただ、補償金について言えば、今のバーチャルなブランケット分配とかを、もうちょっと実態に近いような見え方にすることはできると思うんですよ。例えば、権利者の分配データベースなり、分配方法をネットで(ある程度支障がない範囲で)公開することで、自分がコピーしたコンテンツの補償金はこのように使われているんだ、みたいな流れを見せるとか。

権利者が頑なになって、そのジャンルのコンテンツ自体にユーザーがそっぽ向くような事態を招いたら、誰が一番損するのってクリエイターとユーザーなので、そういう最悪の事態を招かない意味で、補償金というのは(現状は)一定の存在意義はあると思うんです。彼らも、補償金あることで「まぁ、ここまでは見逃すか」的なところがあるのは事実ですし。

そもそも「コピー制限なくせ!自由にコピーさせろ!補償金も払いたくない!」という人は、コンテンツ業界にとって「良いお客さん」になる可能性は限りなく低いと僕は思ってるので、そこまで極端にユーザーに寄らずに、ある程度のバッファとしてポジティブに補償金があることの「ユーザーメリット」を、権利者側からも、あとはユーザー側からも(僕なんかも含めて)やっていく必要があるんじゃないかなーと思います。

小寺さんの回答

僕は音楽業界の中というのは見えてないんですけど、外側から見ると、むしろ「補償金存続でDRM廃止」のような流れなのかなとに見てます。Appleが DRM廃止論の口火を切ったわけですけど、確かに音楽販売業者としては、ワールドワイド的にもかなりの力を持ったチャンネルからの意見なわけですよね。米国あたりでこの動きが主流になったら、日本だけでDRM存続ということになって、それはおかしいって話になりますよね。というかそうしていかないといけないわけですけど。

放送のコピーワンスというのは、世界で最初にやっちゃった愚だと僕は思っているんです。それを音楽の世界で繰り返してはいけない。ただ、現時点では両方同時に撤廃というわけにはいかないと思うので、まずどちらか片方から。それが片付いてから、市民運動か消費者団体かわかりませんけど、声を上げていって、という具合に段階的に進むべきなのかもしれません。

2007年9月 8日

【Q.3】あるコンテンツが常に手に入ることを、一企業が保証できるとは思えないのですが

先日に引きつづき「8月2日に開催された『CONTENT'S FUTURE』刊行記念トークショーでの質問に答えるために、9月1日に放送されたネットラジオ終了後に行われた質疑応答チャットのまとめ」からです。

あるコンテンツが常に手に入ることを、一企業が保証できるとは思えないのですが、その保証は誰が行うべきなんでしょうか? また、「著作物をそれ以上配布しないことを決定する権利」は著作者にあるとは思うのですが、ユーザとしては、自分が購入したコンテンツがそういうものだというのは受け入れられないと(少なくとも今は)思います。
- 質問者 - momoさん

小寺さんの回答

そうですね。確かに、配布システムとして未来永劫存続し続けるというのは、どの企業でも難しいと思います。これは『CONTENT'S FUTURE』の中でも触れてありますが、ゲーム業界では既に起こっていて、ソースが失われた名作ゲームというのも数多くあるという話です。これなんかはディストリビュータは存在するのに、その大元がなくなっちゃったという話ですね。

そこから先は、著作者人格権の範疇になっていくんだろうなと思っています。ディストリビュータが消失してしまった場合は著作者隣接権も消失したと見なして、また著作者が別のディストリビュータに売れるとか、そういうことになるんでしょうね。ニーズがあればの話かもしれませんが。

また「配布しない権利」に関しては、以前著作権保護期間延長に関するコラムで、YMO謝罪事件について言及したことがあります。これが参考になるのではないでしょうか。

ITmedia アンカーデスク:著作権保護期間延長はクリエイターのためになるか (3/3)

津田さんの回答

「一企業が保証できるものとは思えない」というのは僕もまったく同感で、じゃあ誰がやるのかという話になったときに、1つは国が文化政策として予算をかけてやるということがあると思います。具体的には法制化で、企業が潰れない限り、コンテンツの一定のアクセシビリティを義務化するみたいなイメージですね。

ただ、それもかなり現実的には取引コストも高くなるでしょうし、管理しやすいコンテンツとそうでないコンテンツもあるので、大変な部分も多い。それで、この前ICPFのセミナーで白田先生が言っていたのですが、昔のイギリスには「権利の復帰制度」というものがあったそうなんです。

これは、クリエイターが企業などに著作権譲渡した場合でも、一定期間を経ると著作者に権利が自動的に戻ってくるというもので、こういうものが法制度として著作者の権利として確立すれば、一企業が商売にならなくて廃盤・絶版にしちゃったものは即座に著作者に連絡がいって、著作者に権利が戻って、著作者は別の出版社探してもいいし、あとは自分のサイトで無料公開してもいい。

コンテンツが十分に市場に出回らないという問題は、企業によるコンテンツの塩漬けをなくすような法制を行うことで、一定の解決の方向はあるんじゃないかなと僕は思ってます。

2007年9月 9日

【Q.4】放送局がJASRACに支払う権利金や、JASRACがアーティストに支払う印税は……【otsuneさんの質問】

引き続き質疑応答のまとめです。

Q.4 放送局がJASRACに支払う権利金や、JASRACがアーティストに支払う印税は、1使用1曲ごとに集計しないでドンブリ勘定していると聞きました。ただ使用曲の集計コストもタダではないし、JASRACが曲1回使用毎に1円単位で徴収して仲介すると、POSデータを握ったコンビニのような別の権力も生まれる気がします。
このアーティストへの還元システムの理想型はどう考えていますか?

(余談ですが、消費者からすると、ケータイやブロードバンドネットのように月額定額料金で使い放題や、1曲買ったら聞き放題が心理的に使いやすいという要素もあります。1曲1使用ごとに定額課金などは抵抗がある)

- 質問者 - otsuneさん

津田さんの回答

ブランケット徴収に関しては、アーティストからもJASRACに対しての突き上げがたくさんあって、特に一番大きかったテレビの全曲報告については、まさに去年から今年にかけて「とりあえず、テレビ局がやるよ」的な方向で合意は取れているという話です。NHKはもうやってたんじゃないかな。

テレビ局は「全曲報告なんて人的コストがかかって大変だ」とかそんな理屈でどんどん先延ばししてたんですけど、今の売り上げと比較すればそこまでのコストではない、という話もあるし、あとは今権利者団体がデータベース整備しようとか、創作者団体協議会やら経団連なんかも言ってますし、実際にスタートしつつありますが、そういうものの整備が「技術」で出来るなら、「曲目なんかの報告なんてものは、メタデータの中でも最も基本的な部分だから、すぐにできるだろ?」というある種の反論?というか正論があると思います。

また、音楽だともう1つレンタルのブランケット問題もありますけど、あれももうちょっと具体的にPOSデータ使って、実際の貸し出された回数に応じて個別徴収して、それを配分するようなスキームが議論の俎上に上がってきてます。

POSデータ握ったコンビニのような別の権力が生まれるというのはその通りだとは思いますが、それをどこが管理するかという問題はありますね。白田先生案は「企業がきちんとしたコンテンツの出荷統計を計上して、国に報告する義務を付けろとおっしゃってました。

定額課金に関しては、使用される回数のパーセンテージを細かく報告して、売り上げの中から個別に分配するというスキームが米国のサブスクリプション音楽配信なんかではやられているので、そのスキームでとりあえずはいいのではないかと。

ただ問題は、いくら分配のためのデータがきちんとしていても、まず団体にいって、団体が個別分配をきちんとしているかどうかという点を検証するような仕組みがないので、理論上かなりそこがザルになってしまう余地があります。そこをきちんと明確に公開させるような仕組みなり法制は必要なんじゃないでしょうかね。

いずれにせよ、方向としてはそういう全曲報告的なところに行かざるを得ないとは思いますよ。


小寺さんの回答

津田さんの話に補足しますと、テレビ局の全曲報告は、在京キー局では既に始まっているはずです。ただ僕が聴いたニュアンスだと、自主的に始めたというよりも、JASRACが言ってきたからしょうがなくやってる、という感じですけどね。

僕がNHKに居る時代は、ブランケット方式だったんで、番組内で使いたい曲は自由に選択できました。例えばNHK内の音楽ライブラリにない音源でも、昼休みとかにタワレコで買ってきたCDから使っても問題なかったわけです。そういう自由度はありましたね。

ただし、僕が担当してたのはニュースだから編集者が自分で選曲できるわけですが、通常の番組では、音楽を付けるのは音効さんの仕事です。全曲報告になって大変になるのは、放送局ではなくて音効さんだという現状があります。ネットなんかを使ってサラっと全曲報告できるならいいんですけど、いちいち書類に起こさないといけないんで、その手間で音効さんが忙殺されるということにもなっています。結局、音効さんってのはフリーランスだったり派遣だったりするので、そこにかぶせちゃってるからOKみたいなことになってますね。

それが続くとどういうことが起こるかというと、手間を嫌って同じ音楽が毎回使われるとか、権利処理が不要な素材集から引っ張ってくるようなことに落ち込む可能性があります。それはそれで、音楽収入という面でもマイナスですし、文化面でも後退と言えるかもしれません。それは全曲報告が悪いというのではなく、リスクを表現者側に投げてしまっている状況も改善しなければならないということです。

津田さんの補足

雑談(チャット)の方でも出てますけど、売り上げの数%を払うのか、使用回数に応じて青天井で払うのか、っていうところは利用する側にとっては大問題で、米国のネットラジオのライセンス問題もそこで揉めてますよね。個人的には、使用回数のデータがきちんとしていれば、売り上げの数%を払って、そこから分配を行うのが、どちらにとってもいいんじゃないかと思います。

音効さんの大変さの問題は、やっぱり統一してネットですぐ報告できるようなデータベースを作らないとダメでしょうね。でも、この問題はもうそれこそ20年くらい前から言われていたことで、そうならないようにテレビ局側が組織改編するなりして、最適化しておかなきゃいけなかったんだと思いますね。とにかく面倒くさいから引き延ばすみたいなことでやってきたツケが、音効さんだけに回っちゃってるってのは、いかにもテレビ局的というかなんというか。

自分のところの著作権処理がグダグダなくせに、ネット業者には必要以上に厳しく言うんだから、まぁひどいダブルスタンダードだよな、とは思いますね。

【Q.5】プログラムなどのソフトウェアは同列に扱っているのか?【Ryo2.0さんの質問】

引き続き質疑応答のまとめです。なお、質疑応答をすべて公開したあとで、ネットラジオそのものもPodcastで公開する予定です。

Q.5 著作権などを考える上で、音楽や動画、書籍などのコンテンツと、プログラムなどのソフトウェアは同列に扱っているのか? それとも、少し違うものとして議論されているのか?

違うものとして議論されているのであれば、どういった方向に行っているのか?

プログラマをやっているので、将来のパッケージソフトとかってどうなるのかなぁと思って質問させて頂きました。本質的ではない気はしますがよろしくおねがいします。

- 質問者 - Ryo2.0さん

小寺さんの回答

現時点の著作権法そのものは、コンテンツの種類に関しては区別してないですよね(注:正確には映画だけ区別している)。でもそれが問題だという意見は、議論には上がってきています。延長論で言えば、まさに映画が別格になっているという問題もありますし。

例えば、僕個人の意見では、そもそもソフトウェアというのは著作権で保護すべきものだったのか、ということも考えています。むしろ特許法などのところに組み込むべきではなかったかと。これはたぶん、制作時に自動的に権利が発生するという著作権の簡便さを利用したかった、というところだったのかなと。

この問題も以前、著作権延長問題を考えるフォーラムのトークイベントで話題になったんですが、「そもそもソフトウェアで70年持つものはない」とおっしゃったのがマイクロソフトの最高技術責任者補佐である楠正憲氏というのも、また興味深いところですが。知財のリサイクル、あるいはリユースを考えれば、もっと短くしても、デメリットはないと考えられるわけです。

そういった意味で、本来ならばコンテンツを何もかも同じ法で縛るのはあまり意味がなくて、どういうサービスなのかみたいなサービス法に展開していくべきなのかなとも考えます。

津田さんの回答

僕の方からは、著作権法は大筋のところでは今のままでいい気はしてるんですよ。コンテンツの種類によってあまりにも受け入れられ方や消費のされ方やコピーの流通の規模とかも違っちゃうので、それを個別に著作権法に反映させるとなると、「あっちの業界はああなのになんでうちはこうなんだ」みたいな余計な綱引きとか混乱もたらされちゃうような気はします。

だから、それこそ最低限ベルヌ条約を守りつつ、そこから先の「商業経済的著作物」は、著作権法とは別のルールで対応していかなきゃいけないのかな、という気はしてます。プログラムなんかはそういうものの最たる者じゃないですかね。多分このあたりの議論は、『CONTENT'S FUTURE』の中村伊知哉さんの議論も参考になると思うので、それを見ていただくのもいいと思います。

今の状況としては、経済的利益の大きい、ビジネスベースのプロのクリエイターなり、それを使って商売してる権利者たちが著作者全員を代表するような発言をしているような状況になってますが、実際には経済的利益の順位でいえば低い、ある種「ロングテール」の側にいるアマチュアクリエイターの方が数が多く、問題は著作権法がどっちも均等に保護するってことです。ただ、ロングテール側にいる人々の意見を優先すると、商業著作物なり、プロのクリエイターが保護されないってのも事実ですよね。

だから結局、プロ/アマ全員が満足する著作権法ってのは無理だし、コンテンツの種類を横断的に満足させられるような著作権法ってのも無理なんじゃないかと。だからそこを補強するのは、中村さんが言うような暫定合意なり、もしかしたらDRM技術の進歩なのかもしれないし、経産省や総務省が行う法制なのかもしれない……。それらを複合的かつ同時多発的に進めていくしかないというのが答えになるんでしょうか。

【Q6】中間業者形の人たちは?【MFalconさんの質問】

引き続き質疑応答、6問目です。なお、質疑応答をすべて公開したあとで、ネットラジオそのものもPodcastで公開する予定です。

今後いろいろなメディアが進歩していくなかで、中間業者形の人たちは
  1. どのように拳を上手くおろすのか?/おろさせるにはにはどうすればいいか?
  2. 本来の意味でのアーティスト育成以外で生き残ろうとする(稼ごうとする)のはどうよ?
という面について、どのように考えていますか?
いろんな意味で、ちょっと高圧的なレーベルとかの今後について、ということで包括的に。

- 質問者 - MFalconさん

津田さんの回答

a.の質問に関していえば、放送でも散々話に上がりましたが、窓口としての「ユーザー団体」があるだけで変わるような気はしてます。団体交渉にしてしまって、お互い飲めるところは飲んで、妥協できるところは妥協して、妥協できない場合は闘争も辞さない、的なスタンスをフェアな立場で行えば、もう1つ上の段階の議論に行けるんじゃないかと思ってます。もちろんそれはユーザーが自分たちの都合だけを言うという話じゃなくて、彼らの立場も理解した上で言いたいことを言う、というバランスが求められるとは思いますが。

b.の方はなかなかすぱっと答えるのが難しいんですけど、他人事っぽく言ってしまえば、現状のレコード会社は、このままのスタイルで行く限り斜陽産業が加速するだけだ、という意識を中にいる人がどう危機感として持って、業界の改革ができるかじゃないですかね。責任を押しつけ合うんじゃなくて、新しいやり方を率先して行っていって、上手くはまったところは生き延びるみたいな。その意味で賛否両論いろいろありますが、エイベックスは、今のレコード業界を見たときに、相対的にそういうことやってる方だとは思いますよ。

本質的にレコード会社に求められているのは、ファイナンスとプロモーションであるわけですから、そこに特化してしまうというのもあるでしょうし、もしくは、クリエイターから反感を得ないような形での原盤を握るフェアな商売のスキームを上手く作れるのかってところにあるような気もします。

小寺さんの回答

a.bをまとめた形で少しお話しします。

こういう中間の人たちにとって、あるいは企業体にとって、と言ってもいいかもしれませんが、一番効くのは「そんなんじゃ買わないよ」ということなわけです。これまで日本という国では、国民性もあるんでしょうけど、なぜ買わないかを言わないで黙っていなくなるようなところがあったわけです。そうすると、企業としても何で売れなくなったのかわからない。ユーザーニーズが掴めないと。

だから、もし中間の団体に問題があるのであれば、それだから買わないんだよ、という意思表示をきちんとすることから始まるのではないかと。それはBlogも1つの手段でしょうし、直接意見を送るとか、あるいはPSE法における民主党の川内議員のような政治家を担ぎ出すみたいなことも、本当はちゃんとやるべきなんだと思います。そういう意味では、ネットイナゴパワーも使い道があると(笑)。

津田さんの補足

そういう意見の集約もユーザー団体がやるべきでしょうね。ネットだけでなく、リアルの調査なんかも請け負ってね。ユーザー団体を作ったら、専務理事はハードコアなCC至上主義者のひとにやってもらおうと思っているので……

【Q7】いま審議会で違法複製物や違法サイトからの私的複製を30条から外すべく意見がまとめられようとしているわけですが【みうらゆうさんの質問】

それでは最後の質問です。非常にホットな話題になりましたね。

Q7. いま審議会で、違法複製物や違法サイトからの私的複製を30条から外すべく意見がまとめられようとしているわけですが、その一方で廃盤になった音楽などは私的複製物の貸し借りなどで僅かに流通し伝播してきたということも言えると思います。こうした私的複製物が流れていくことによる音楽文化への効果について、お2人がどうお考えか教えてください。特にライヴブートレグ等についても。

- 質問者 - みうらゆうさん

津田さんの回答1 - 審議会での30条問題について

この前の審議会で「僕、この改正はとても反対でこれが通っちゃうとイヤなんですけど、もう決定なんですか?」と正直なところを言ったら会場苦笑い、みたいなことをやっている俺が答えますよ!

実際に法案が通ったとしても、利用を阻害しないようなことは考えられている、とはなってまして、具体的にいうと、1つは「情を知って」という項目がつくということ。これは、要するに違法なサイトであるということを明確に分かった上でダウンロードしなきゃ違法にはならないよ、ってことですね。「BitTorrnetなんかは、違法な配信にも使われてるけど、合法な配信にも使われてて、ユーザーはどっちか判断つかないけどどうするの?」って質問したら、そのような場合は「情を知って」にはあたらない、とのことだと。だから結論としては、

BitTorrentなら安全だよ!

ということですね。そしてWinnyにも自作のポエムが若干流れてるから、もっともっとみんな自作のポエムをWinnyに流せば「情を知って」にはならないから安心だよ! ということです!!!

というのはもちろん冗談ですけど


この「情を知って」って項目はかなり曖昧なので、実際に権利者が、違法なものダウンロードした利用者が「情を知ってた」って立証するのはほとんど無理みたいなぐらい、細かく証拠をあげなきゃいけないから、実際に「情を知って」という制限が加わることで、ダウンロードした人を刑事罰で逮捕するのはほとんど無理だろうとのことみたいです。

さらに、これについては罰則を設けない。つまり未成年の飲酒喫煙と同じで、発覚したところでそれを罰することができないから、ほとんど意味のない、権利者が「それは犯罪ですよ!」と言えるぐらいしか意味のないことであると。逆に言えば、今はダウンロードが合法になってる状況に対して、パンフレットとか新聞広告で権利者が「違法な著作物のダウンロードは犯罪です!」って言えるように状況を変えたい、という目的があるってことですね。

ただ、罰則はないけど、民事訴訟の対象にはなるから、権利者が思いっ切り頑張って、着うたサイトから何万ファイルもダウンロードした人を特定できたら、それについての損害賠償を請求する民事訴訟は起こせるとのことです。まぁそれでも情を知ってを立証しないといけないから難しいだろうけど、米国でRIAAがやってるような、見せしめ的警告やら民事訴訟やら起こして、よくわからないうちに和解させるみたいな強行戦術を、レコード会社が狂って始める可能性はゼロではなくなるってことですかね。

結局、これが施行されたところで短期的にはほとんど意味はないし、状況も変わらないんだろうけど、実効性がないんだったらわざわざ変えなくてもいいだろ? 常考というのが僕の主張で、悪質なアップローダー運営者もしくはアップしたやつを普通に送信可能化権の範囲で逮捕すればいい、って運用で十分なんじゃないかと思います。

津田さんの回答2 - ブートレグについて

ブートレグの問題は難しいけど、こういうのこそアーティスト側がオフィシャルにコスト安いデジタル音源で配信したり、ライブに「Taper's Ticket」みたいに高い料金設定のチケット買ったら、非商用私的複製の範囲で録音していいよ(もしくはCC付けるとか)、みたいなことをやって、解決していくしかないんじゃないかなと思います。

あと、著作物に関する調査研究がやりにくくなるのは面倒ですが、まぁそのあたりはどっちにしろ法で保証しろってのは難しいイメージがあるので、それはもうグレーだと知りつつやるしかないんじゃないですかねー。

小寺さんの回答

私的複製物の貸し借りですけど、僕が学生の頃は、まさに音楽を沢山聴くためにはこれしか手段がなかったわけです。当時カセットテープ全盛の時代ですね。レンタルレコードもありましたけど、僕らが指向するようなマイナーな音楽って、レンタル屋には置いてないわけですよ。XTCとか(笑)。だから友達とお茶の水行って、オレこれ買うからおまえアレ買って、みたいな感じで、あとでカセット交換とかしてましたね。

で、今デジタル時代になっても、音楽コンテンツが高くて、多感でもっともいろんなものを沢山吸収しなくちゃいけない時期に限って、みんなお金がないという現状があるわけです。そこでデジタル的な窃盗に走るというのは、まあどう考えてもそうさせた社会が悪いわけですよね。昔は友人同士のコピーというのは、零細だからということで見逃されていたわけです。それがデジタルとネットの組織化によって、不特定多数に対して配信できるようになった。送信可能化権なんてのも、そういう流れから出てきたわけです。

僕的には、零細なコピーまで問題視するのであれば、コンテンツの価格をまず下げるということが、社会の本質論として議論されなければならないと思います。貧しいから泥棒する、じゃあ警察力を強化して厳しく逮捕して回るだけで根本的な解決になるのか、と。それだったらまず国を豊かにすることから考えようよ、というのが先進諸国の基本的な考え方ですから、そっちに行くべきだろうと。現に流通コストもかからないツールとしてネットがあるわけですし、CDなんかも版のコストなんか、微々たるもののはずですから。

ブートに関しては、個人的にはほとんど買ったことはないですね。もちろんいくつか買ったことはありますけど、その価格と内容のバランスがあまりにも取れていないので、僕には厳しいかなと。

ただあれはコンテンツそのものの価値と言うよりも、資料的な価値の値段なのかもしれないですね。Zeppelinの全ライブの活動の歴史を調べる資料、みたいな感じで。そういった資料なら資料として、著作物とは別扱いで管理・運用していけば面白いことになるように思います。

質疑応答編は以上で終了です。来週にはネットラジオそのものもPodcastで公開するよう準備中です。

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