八鍬: 2008年6月アーカイブ
みなさん、こんにちは。
「情シスの現場」編集部の八鍬です。
本日は、本誌創刊号のコンテンツを一部掲載します。
掲載を快諾していただいたのは、ITコーディネータとして活躍中の山口康雄さん。
中小企業のIT担当者からの疑問に山口さんがお答えします。
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中小企業のIT担当者の疑問に答える
ITコーディネータのお悩み相談室(1)
(文=山口康雄)
Question
当社は従業員50人規模の製造業です。生産管理システム導入を計画しており、経費を抑えるためパッケージ導入を検討していますが、パッケージ導入で失敗している話を多く聞きます。その原因を教えてください。
Answer
昨今は生産管理パッケージも細分化されており、業務に合ったパッケージを導入しやすくなっています。しかし、失敗例を見てみると、大きく以下の 3つのケースが見受けられます。
①パッケージ機能では自社の管理項目や工程に対応できないケース
②実績収集が簡素化されていないため、入力忘れや入力ミスをしてしまうケース
③パッケージに業務の流れを合わせたため、自社の強みを失ってしまったケース
①と②のケースは、二重管理や管理のためのルールを作ったりして生産性を損ない、生産コスト増大の原因となります。また、顧客企業の無理な要求に応えることも中小企業の強みです。緊急注文に対して無理を承知で生産して出荷することにより、顧客からの信頼が得られることは多くの中小企業では共通しています。
③のケースのようにシステム導入で企業価値を落としてしまうことは、中小企業ではやってはいけない事例です。どのケースも最終的には経営者の判断でシステム導入を断念しています。
では、ベンダーにお願いしてゼロから構築するのがよいのでしょうか?これでは中小企業にとっては大きな問題を抱えてしまうことになります。莫大な開発費用とシステムバグに悩まされて稼働までに時間を要し、そして将来の拡張性などの面でもマイナスです。
最善の方法は、セミオーダー方式での導入でしょう。
システム全体を共通部分と独自部分に分けてシステム構築を検討することです。具体的には、工程間入出庫処理部や所要量計算エンジン部にはパッケージ化された汎用機能を有効に活用し、生産計画立案部や実績収集部、管理画面表示はカスタマイズ開発とします。さらに帳票に関しては、Excelのピボットテーブル機能(注1)のようにデータベースから直接呼び出し加工できるインターフェイスで汎用性を持たせることが必要と考えます。
実績収集にはバーコードや RFIDなどを取り入れることも入力を簡素化する方法の 1つでしょう。ある会社では、実績データを正確に入力させる方法として、バーコードを読まなければ生産設備が稼働しないような仕組みを取り入れています。
(注1)ピボットテーブル機能とは、Excelに搭載されているクロス集計機能のこと。取り込んだデータから項目を自動的に抽出し、ドラッグ&ドロップするだけで任意に縦軸・横軸などに配置する項目を変更できます。また、集計結果と自動リンクするグラフを生成できるなど、強力な集計・分析能力を備えています。
<著者略歴>
山口 康夫(やまぐち やすお)
1990年より都内の UNIX関連メーカーに勤務し、1999年プラスチック製造企業へ転職。業務改革を主導しキャッシュフロー改善など多くの実績を残し、2001年より取締役副工場長に就任して工場経営を指揮する。2004年にフクジンコンサルタンツ株式会社を設立。ベンダーとユーザー経営層の両面を経験しているコンサルとして、福島県内外で生産管理システム導入支援およびインターネット販売戦略支援を行っている。http://www.fukujinn.com。
社団法人情報システム・ユーザー協会(JUAS)がUISS(Users' Information Systems Skill Standards)に関するセミナーを開催します。
日時 2008年7月16日13:00~17:30
場所 ベルサール神保町(東京都千代田区西神田3-2-1)
詳細 http://www.juas.or.jp/project/uiss/index.html
UISSは、情シス部門の要員に必要なスキルや経験を体系化した指標です。システム開発を受注する側の開発会社(SIer)には、ITSS(IT Skill Standards)という指標があります。UISSはその発注者向けバージョンと考えると分かりやすいと思います。
このUISSを情シス部門の人材育成や評価制度と関連付けて成功している企業があります。上記のセミナーでは、UISSの意義や特徴はもちろん、そうした成功事例なども紹介される予定です。
部下を育て、将来的に情シス部門を引っ張っていく方々にとって有意義なセミナーになるかもしれません。先着200名で申し込みは締め切りになりますので、興味のある方はお早めに。
情報システム部門(情シス部門)に配属されたばかりにいつも損をしている。そう感じている人はいないでしょうか?
業務部門(システムの利用者)からは無理な要求を次々に突きつけられ、ほとほと嫌になってしまう。そう思っている人はいないでしょうか?
システムトラブルが発生したり、利便性が悪かったりする時だけ散々文句を言われ、計画どおりにプロジェクトを遂行しても、だれもひと言もほめてくれない。そんな虚しさを感じている人はいないでしょうか?
そう、情シス部門のファインプレイは目立ちにくいのです。そして情シス部門の「あら」は目立ちやすいのです。
ITシステムは経営の役に立つ重要なものであり、その番人たる情シス部門は重要な役割を担っている――そう言われ続けていったい何年経ったでしょうか。
「情シスの現場」には、理想論では片付けられない問題がいまだに山積しています。その問題を何とか乗り越え、情シス部門が本来の力を発揮できる環境を作ろう。そのための知恵を集めよう。これが本誌のコンセプトです。
本誌の執筆陣は実際に情シス部門で働いている方々、または多くの情シス部門を支援してきたコンサルタントの方々です。その強力な執筆陣が「現場の知恵を持ち寄って情シス部門を幸せになってほしい」という目的のもとに集結してくれました。
システム化企画、ベンダーコントロール、システム運用保守――情シス部門の役割は多岐に渡ります。いずれも重要な仕事です。目の前の業務を効率化したい方、中長期的に情シス部門をあるべき姿に近づけていきたい方、その他どんな方でもかまいません。「現場の知恵」を必要とする方は、ぜひ本誌を手にとってみてください。

